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地震に強い家の特徴は? 「耐震等級3」について解説!

2024.07.01

テーマ: コラム 

今回は家選びに重要な耐震性能をどう見分ければいいのか、「耐震等級3」に注目してご紹介したいと思います。近年地震の頻度が上がり、不安な思いをして過ごしている方も少なくはないでしょう。地震に強い家の特徴を知ることで、家族が安心して暮らせるよう一緒に備えましょう!

 

①耐震等級とは

住宅品格法(住宅を購入する側と売る側が、適切な取引ができるよう住宅の品質を保証する法律)をもとに、住宅に必要な耐震性能を指標化したものが「耐震等級」です。

耐震等級は、建築物の倒壊・崩壊を防げるか損傷の生じにくさの二つの観点から、3段階で評価をしています。等級1が最も低く、等級3が最も耐震性能が高いことを意味しており、取得には許容応力度計算と性能表示計算のどちらかで算出します。どちらも有効な計算方法ではありますが、許容応力度計算の方が耐力壁を多く必要だという計算結果がでる場合があります。耐力壁の量によって住宅の耐震性能に違いが出るため、より精密な結果を知りたい方は「許容応力度計算≧性能表示計算」と覚えておけばバッチリです!

〈耐震等級1〉

これは最低水準とされる耐震基準程度の強度にあたります。震度6から7の地震で倒壊しない耐久性があり、震度5規模であれば損傷もしないことを指しています。言い換えれば、倒壊はしないが一定の損傷を受ける可能性があるということです。

〈耐震等級2〉

等級1よりも1.25倍大きい地震に耐えることができます。長期優良住宅と呼ばれる住宅は、この等級2以上にあたり、また災害時の避難所として指定されている学校等の公共施設も、等級2以上の強度が求められています。

〈耐震等級3〉

等級1よりも1.5倍大きい地震に耐えることができます。2024年現在設けられている、住宅の耐震性を示す指標の中で最も高水準です。災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署は、多くが耐震等級3で建設されています。

〈耐震等級を参考にする注意点〉

耐震等級2・3の取得は、義務ではなく耐震性を測る指標でしかありません。木づつみでは、設計した住宅を全て許容応力度計算によって起算したうえで、全棟等級3を取得していますが、この下線部の表記が重要になっています。例えば 同じ工法で設計された住宅100棟のうち、無作為に1棟を調べて等級3であれば、その他の99棟も等級3に相当します、と公言できてしまいます。そのため戸建住宅や設計会社選びの際は、そういった細かな情報にも目を向けてみてください。

 

②耐震基準との違い

住宅の耐震性にかかわる指標には、「耐震等級」と別に「耐震基準」もあります。この二つは違う法律をもとに決められているので、違いも押さえていきましょう。

この二つの違いは、評価制度か最低ラインかという点です。具体的には、建築基準法を基にした、命を守るために必要最低限の耐震性能が耐震基準であり、取得が義務化されています。一方で耐震等級の取得は義務ではないため、等級を表記していない場合もありますが、耐震等級1は耐震基準に相当するため保証されています。つまり、耐震等級1=耐震基準だと思っていただいて構いません。

耐震基準(耐震等級1)は震度6から7の地震で倒壊しないレベルが求められます。この基準を下回ると、違法建築物(1981年6月以降に建築した建物の場合)となりますが、耐震等級では耐震基準に加えてどれだけいい性能なのかを可視化したものなので、上に幅があります。

等級を上げるには、建築物の重量を軽くすることや体力壁の設置、耐震・制震・免震それぞれの装置を設置、床の剛性を高めることが有効とされています。

 

③耐震・制振・免震の違い

中を守る構造といえば、金庫のような固い箱を思い浮かべる方も多いのではないで

しょうか。ですが建物には振動を受け流せるような柔らかさも必要です。建築物の地震対策は耐震・制振・免震の3つの観点から行われているので、それぞれご紹介します。

〈耐震〉

耐震は、柱や梁などの構造体を強くして地震に耐えます。建築の基本的な強さに当たるので、「耐震基準」によって最低限の強度が明確に決まっており、さらに「耐震等級」で性能を保証しています。

〈制振〉

建物は固くすると地震の力は伝わりやすくなります。そこで耐震に加え、ゴムやオイルダンパー等の制振装置で地震の横揺れを軽減し、歪みを防ぐのが制振です。基本の構造体に加えるイメージなので、現在住んでいる建物に補強として、後付けで設置することも可能です。

〈免震〉

免震は建築物を地面から切り離し、間にアイソレータやダンパー等の免震装置を設置することで揺れを建物に伝わりにくくします。この対策が現状最も耐震性能が高い方法になります。そのため免震建築物は耐震等級評価の必要がなく、評価対象外とされています。

制振ダンパー

免震積層ゴム

 

木づつみの家は耐震等級3を標準としており、地震の力を分散する面材を耐力壁に使用しています。これに加えて地震の衝撃を吸収する制震テープ加工により家全体にダンパー機能を持たせる方法を採用しています。このような耐震性能へのアプローチ方法は設計会社によって違うので、ぜひご検討中の設計会社に質問してみてください。

 

④耐震等級3を取得するメリット

〈余震にも強い〉

大きな地震に耐えられるなら、等級1でもいいのではないのでは?と思った方、等級3の強さは、一度目の地震が起きた後により実感ができます。建築基準によって建てられた住宅は震度6から7でも倒壊はしませんが、一度の地震で耐久性は確実に落ちてしまいます。倒壊は免れても、生活をするためには修繕が必要になる場合がほとんどです。さらに立て続けに余震が来てしまうと、本来の強度より下がった状態で揺れを受けることになり、倒壊のリスクが上がります。

(津波にも耐えたスーパーウォール工法の住宅)

耐震等級3の住宅は、2016年熊本地震において、4月14日と4月16日の2度の震度7の地震でも倒壊を免れたという記録があり、何年もかけて私たちの命を守るためには、等級3の取得が大切だということがわかります。そのためこれから住宅を設計する際は大きい余震に備えた耐震等級3の取得をお勧めします。

 

〈地震保険や住宅ローンの優遇〉

耐震等級を取得すると、地震保険料で耐震等級割引が適応されます。等級が上がると、割引率があがり、等級1は10%、等級2で30%、等級3では50%の割引になるため、日々の負担を減らすことができます。また、住宅ローンを組む際に金利に割引がつくこともあります。なので住宅を購入する際は、割引なども含めた総額を計算してみてください。また、耐震性能が高いとメンテナンス費用も一部押さえることにつながりますので、こういった長期的な資金計画が大切です。

 

〈資産価値があがる〉

住宅は経年劣化をするため、年々価値が下がってしまいます。新築の木造住宅だと20から25年ほどで建物の価値がゼロになるといわれており、耐震等級は資産価値を下げないためにも重要な項目となっています。長期優良住宅に認定されている等級2・3を取得していると、経年劣化を比較的遅らせることができるため、資産価値を維持しやすくなっています。

 

⑤耐震等級3を取得するデメリット

〈建築費が高い〉

メリットでもお話ししたように、耐震等級が上がればその分家の価値は上がるため、初期の建築費用が高くなります。予算面を考えると等級3を目指すのは難しいと感じる方も多いでしょう。ここで注目していただきたいのが、長期的に発生するコストです。震災等で損傷した住宅は一般的に建て直しや修繕が必要になります。ですが先ほどお話したように、等級3の住宅は余震に耐えた実績があり、震災後も修繕費を抑えることに繋がります。もし地震の被害を受けていなければ、住宅を売り出すときに価値をあまり落とさず売ることができます。

〈間取りの自由度が下がる〉

住宅の強度を上げるということは、部材の厚みや量が増え、間取りや開口部に制限がでてきます。懸念のある方は、注文住宅を扱っている設計会社がお勧めです。そのような会社は、設計士が常駐している場合が多く、間取りや窓の大きさなども直接相談ができます。また、耐震等級3の住宅でも理想の間取りを叶えることができますが、構造部分は会社内で決まった工法を扱う場合が多く、変えることは難しいです。なので会社選びの際は、間取りの自由度以上に性能を重視しておくことが大切です。

⑥まとめ

今回は耐震性能を見極めるポイント「耐震等級」についてのお話でした。近日も度々地震が起きていますので、万が一のことを考えた家づくりをお勧めします。時代に合わせ、今後も耐震評価基準が更新される可能性もあるので、最新の情報を知っていて損はありません。株式会社大黒屋木づつみでは、今回のような住宅情報をコラムで配信していますので、ぜひ他の記事も目を通してみてください!

ありがとうございました!