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熱中症の約4割が住居内で発生⁈身近に潜む「室内熱中症」のリスクと住まいの対策

2025.08.21

テーマ: コラム 

毎年、夏になると「熱中症に気をつけてください」とニュースや天気予報で聞きますよね。昨年の熱中症による救急搬送者数は9万1,467人と、前年から約2万人も増加する調査結果が出ています。しかし、搬送された方の多くは「屋外」でのことだと考えいませんか?
実は、熱中症が最も多く発生している場所は「屋外」ではありません。
総務省の調査によると、熱中症の発生場所の約4割は、なんと「住居内」であり、これは令和元年から令和5年にかけて同様の結果が出ています。

つまり、外出していなくても、エアコンをつけていても、室内の環境によっては、熱中症のリスクが十分にあるということなのです。

特に在宅時間が長い高齢者や小さなお子さんがいるご家庭では、室内環境の見直しは命の危険を守ることに直結します。今回は、お家の中で熱中症が起こる原因と、住宅の性能が、リスクの軽減にいかに重要かを住宅会社の視点からお伝えします。

室内熱中症ってどんな症状?なぜ起きる?

「外に出ていないのに熱中症になるなんて…」と驚かれるかもしれませんが、閉め切った室内は外よりも気温が上がることは少なくありません。体温が上がりすぎたり、体内の水分・塩分のバランスが崩れることで、めまいや頭痛、吐き気などの症状が現れます。重症化すると、意識障害や命の危険も伴うため、非常に危険です。

室内で熱中症が起こる主な原因が以下のようなケースです:

・窓を閉め切った部屋に長時間滞在する
・エアコンのない部屋で家事や作業をする
・エアコンをつけても効きが悪く、室温が高い
・体感温度に鈍感になっている高齢者が暑さに気づかない
・水分補給を忘れてしまう

とくに風の通らない2階の部屋や、窓の少ない洗面脱衣室などは非常に危険な場所です。日中、強い日差しが差し込むと、室内の温度が35℃以上に達することもあるのではないでしょうか。
また、体温機能が衰えてきた高齢者は「暑い」と感じにくくなっているので、冷房を使わずに我慢してしまう傾向があります。その結果、知らず知らずの間に体温が上昇し、頭痛、吐き気、めまいなどの熱中症の症状が現れるのです。
実際に、高齢のご夫婦が室内で熱中症になって救急搬送されたケースを、ニュースで聞いたことが1度はあるはずです。原因は、熱気がこもる脱衣所と、生活するうえでの活動による体温上昇の重なりです。

これからますます気温の上昇は予想される現代では、こうした”家の中の危険な暑さ”は高齢者に限らず誰にでも起こりうることです。

熱中症が起こりやすいお家の場所は?

お家の中でも”危険な暑さ”を感じやすい場所がいくつか存在します。以下のような場所はとくに注意が必要です。

2階の個室

日差しを直接受けることが多く、屋根裏からの輻射熱も加わるため、室内の温度が著しく上昇しやすい傾向にあります。

脱衣室・トイレ・廊下など

エアコンを設置していない場合がほとんどの場所ですが、小さな空間でも熱がこもることで短時間でも危険な状態に陥る危険があります。脱衣所や浴室は湿度も高いため、体温調節がしにくいことも要因です。

日差しが強く当たる窓際

カーテンや庇がないと、室温は外気温よりも高くなることもあります。特に日中の日差しが強い南側の窓や、西日があたる西側の窓の近くは要注意です。

高齢者が長く滞在する部屋

エアコンが設置されていても、本人が「電気代がもったいない」「扇風機で十分」と判断してしまうケースが多く、非常に危険です。

これから、ますます気温の上昇が予想される中で、お家の中でのこういったリスクを、我慢することなく軽減させるために、知っておくべきことを住宅会社の視点で解説します。

お家の暑さ、住宅のどこを見直せばいい?

熱中症のリスクを軽減させるには、体調管理や水分補給に加え、「お住まいそのもの」を見直すことが非常に重要です。
ポイントは大きく5つあります。

断熱性能と気密性能

エアコンの効きが悪いのは、エアコン本体の問題ではなく、お家の「断熱性」と「気密性」が悪い事が原因かもしれません。そもそも断熱性の低いお家や、壁内結露による劣化で断熱性能が失われた状態のお家だと、壁や屋根、窓などから外の熱気が入り込んでしまいます。
また気密性の低いお家だと、外の暑い空気は入り込み、反対にお家の中の冷えた空気は逃げてしまいます。このようにお家の性能が低いことによって、エアコンを使用しても冷えないお家になってしまうのです。

換気

断熱性と気密性だけがしっかりしていれば、解決するのかというとそうではありません。この2つと同じくらい大事になってくるのが、「換気」です。
現行の法律では、24時間換気の設置が義務化されていますが、換気の中にも大きく3つの種類があります。

*換気の種類について知りたい方は、過去のコラムをご覧ください。
高気密住宅における換気の大切さとは?

隙間のない建物に、計画的な換気を行う第1種換気を設置することで、空気の淀みが少なくなり、少ないエアコンの台数でお家全体を冷やすことが可能になります。たとえ第1種換気を導入していても、隙間の多い建物では空間がうまく循環してくれないので要注意です。
さらに、熱交換システムを導入することでさらにエアコンの運転の無駄をなくすことができるので、ぜひチェックしてみてください。

日射遮蔽の工夫

“パッシブ設計”という言葉をご存じでしょうか。
窓などの配置計画によって、どのように自然の力を遮断・利用するかを考える設計手法です。夏の場合は、太陽の高度を検討し、土地にあった窓計画や、庇の出幅、シェードの活用によって、建物の外で太陽の熱がお家の中に入らないようにします。

カーテンでの遮光・遮熱も全く効果がないわけはありませんが、一度お家の中に入ってしまった熱を逃がすのは容易ではありません。“そもそも中に入れない”という考え方が大事になってくるのです。

間取りや空気の流れを考えた設計

間取りの配置を計画する際に、風通しの良い配置になっているか、冷房がお家全体に届くように空間をつなげる工夫も効果的です。

木づつみがつくるような高性能住宅であれば、エアコン1台~2台でお家の中に全体を冷やすことができます。それには、これまでに挙げた高断熱・高気密・換気・パッシブ設計を取り入れたうえで、空気がお家全体に届くような間取りの配置が重要です。

また、サーキュレーターやファンを活用してお家の空気がさらに動くようにすることで、熱のこもる場所をなくし、トイレや脱衣室でも快適な温度にするこが可能です。

内窓の設置

今のお住まいでできることはないのかな…?と悩まれていらっしゃる方には内窓の設置がおすすめです。
大規模な断熱改修やリノベーションで気密性能を上げることも可能ですが、限られた予算内で行うには、現在のお住まいの窓に内窓を設置することでも性能改善が見込めます。

お家のすべての窓につけるのではなく、生活の中で特に滞在時間が長いお部屋を重点的に設置することで、コストを抑えつつ断熱性能が上昇します。

住宅の性能が、健康と命を守る

「エアコン1台でこんなに快適なんて信じられません」

これは実際に、木づつみのモデルハウスに来られたお客様が口をそろえておっしゃる言葉です。

昨今は電気代も高騰しており、節約のために扇風機でしのいだり、設定温度を高く設定したりしてしまうことも熱中症の件数が増えている要因の一つです。我慢して暑い部屋で過ごした結果、熱中症で倒れてしまっては元も子もありませんし、電気代よりも高く費用がかかってしまう可能性もあります。
断熱・気密・換気・日射遮蔽などの工夫によって、室温が一定に保たれ、身体への負担が少ない空間がつくられます。暑さの厳しい現代においてはただ単に「快適」というだけではなく、「健康リスクを軽減する」ことにもつながるのです。
また、少ないエアコンでお家全体を冷やすことは、電気代の削減にもつながり、健康的に生活できることは、病院にかかる費用も削減されます。

この夏、もし「エアコンが効かない」「部屋ごとに暑さが違う」「実家が心配」などのお悩みのある方は、ぜひ一度、体感型のモデルハウスに足を運んでください。
見た目ではわからない、“目に見えない快適さ”を五感で感じていただけるはずです。お家の涼しさは命を守る性能です。
この機会に、住まいと暮らしを見直してみませんか?