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高気密住宅における換気の大切さとは?

2024.03.19

テーマ: コラム 

近頃、住宅メーカーで「高気密」という言葉をよく耳にしますが、お家の気密性能が高いと何があるの?と疑問に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はお家の気密性能が高いことで生じるメリットと、気密性能の高さを活かすために必要不可欠な換気について解説します!

1.高気密住宅とは?その特徴とメリット

どのようなお家にも必ず外気とつながる隙間があります。昔ながらの木造住宅では、湿気を逃すため通気性を重視していたので、「隙間だらけ」のお家が一般的でした。
こういった外気の入口にも出口にもなりうる隙間の多いお家では、たとえ冷房・暖房で室内温度を調節しても暑さや寒さが軽減されず、快適な室内環境を保つことはできません。

しかし近年では、電気代の高騰や環境への配慮のため、エアコンの過度な使用を見直す必要性が高まり、断熱性能の高いお家が注目されつつあります。それに伴い無駄な空気の出入りをなくすために隙間を無くす、つまり気密性能を高めるということへの重要性も認識され始めています。

高断熱化された住宅において気密性能が重要な理由は、意図しない外気の侵入を防ぐことで、断熱性能をより高めるためです。例えば冬場ですと、冷たい空気が室内に侵入すると結露が発生し、それが原因で断熱材にカビが生えてしまう可能性があります。これでは断熱性能は低下してしまいます。こういったことを防ぐためにも、気密性能の高さで意図しない外気の侵入を防ぐ必要があるのです。

お家の気密性能を高めると、湿気を防いで断熱材を守り、室内と温度差のある外気を侵入させないので、お家の中を快適な温度に保つことに繋がります。しかし、長く健康であり続けるためには、お家の中の空気を循環させる必要があります。意図した外気の出し入れを、隙間がないという気密性能の高さを活かしたまま行うためには「換気」が重要となってくるのです。

2.高気密住宅における換気の必要性とは

2003年に建築基準法が改正され、住宅において24時間換気システムの取り付けが義務化されました。しかしプロペラだけの換気扇を24時間稼働させても、エアコンの性能をフル活用できません。例えば、夏にプロペラだけの換気扇を使用すると、外の熱い空気がそのままお家の中に入ってきます。そのような状態でエアコンを稼働させても、お家は一向に快適な温度にはなりません。しかし、多くの人がお部屋の中を快適な温度にしようと、換気扇の使用を止めてしまうため、これでは換気を行うこともできません。隙間の多いお家ではエアコンの性能を最大限に有効活用できていないので電気代が高くなる、ひいては環境問題へとつながってしまうのです。

先述した通り、高気密住宅は隙間をできる限りなくしていますので、意図しない外気の侵入を防ぐことができ、エアコンの性能をフル活用することが可能となります。これにより電気代の抑制や省エネにもつながりますが、必然的に空気の出入りもなくなります。換気システムが空気の唯一の出入り口となるので、高気密住宅には換気システムが欠かせません。

一般的なプロペラだけの換気扇

3.高気密住宅における換気システムの選び方と効果的な活用方法

「高気密住宅には換気システムが必要不可欠だが、プロペラだけの換気扇では意味がない」とお伝えしましたが、どのような換気システムを使用するのが良いのでしょうか。
まず24時間換気システムには3種類あります。

第1種換気
給気口・排気口の両方にファンを取り付けることで給気と排気の両方を強制的に行う方法です。機械で計画的に換気を行うため、安定的で正確な換気を行うことができます。さらに熱交換システムの導入により、室内の空気の温度を利用して外気の温度との差を緩和させてから取り込むことができます。つまり、夏は排出する室内の冷えた空気を活用して外の熱い空気を冷やしてから室内に取り込み、冬は外の冷えた空気を暖かくしてから取り込みます。これにより室内の温度は外気温に影響されることなく一定の温度を保ことができます。

第2種換気
給気口にのみファンを取り付けて、給気を強制的に行う方法です。排気の力よりも給気の力の方が強いので、室内の気圧が高くなり窓を開けても外から有害物質が入りにくいというメリットがあります。しかし、排気の力の方が弱いことで室内に湿気がたまりやすく、結露が発生しやすいというデメリットがあります。

第3種換気
排気口にのみファンを取り付けて、排気を強制的に行う方法です。全ての部屋に給気口が必要となりますが、第1種換気よりコストが低く、第2種換気より湿気が溜まりにくいというメリットがあります。しかし、熱交換システムに対応していないため給気口の近くは「夏は暑く冬は寒い」というデメリットがあります。

簡単に3種類24時間換気システムについて解説しましたが、この中で高気密住宅に最も適している換気扇はどれなのでしょうか?
結論から言うと、給気と排気を機械で強制的に行う第1種換気が最もおすすめです。
一般的に住宅で使われることが多いのは第1種換気と第3種換気で、第1種換気は設置費用や給気口の有害物質をキャッチするフィルターのメンテナンス、熱交換システム用のダクトの設置などが必要ではありますが、第3換気よりも空気の循環を円滑に行うため、高気密住宅に適しています。
一方で、熱交換システムに対応していない第3種換気はダクトの設置がなく、有害物質をキャッチするフィルターを取り付けないので、初期費用もメンテナンス費用も安く済むため、「導入コストを抑えたい」「メンテナンスが面倒くさい」とお考えの方は第3種換気を選ぶかもしれませんが、空気の循環が悪く高気密住宅には適していません。さらに、エネルギー効率が良い第1種換気を選ぶことにより、医療費や光熱費などを含めたランニングコストが低下するため、健康で快適に生活しつつトータルコストを下げることができます。

気密性能が高い住宅では、シックハウス症候群の原因となる細菌・カビ・ダニや建材などから発生する化学物質が、室外に逃げにくく室内に溜まりやすくなります。そのため、排気のみを強制的に行う第3種換気では空気の循環が円滑に行われないため、健康へ悪影響を及ぼすという大きなデメリットに繋がります。それを解消するために、最も簡単で有効な対策である「換気」が円滑に行われることがより重要となります。住み始めてからの家族の健康を考えると、高気密住宅に最適なのは第1種換気だと言えるでしょう。
また、第1種換気を効果的に活用するには、熱交換システムの導入は欠かせません。これにより室内の温度は一定に保つことができます。どの季節でも外気温に影響されないことで、エアコンを最大限に有効活用でき、快適かつ電気代も抑えられるというメリットがあります。第1種換気で人体の健康を守りつつ、熱交換システムの導入により暑さや寒さに影響されない快適なお家で暮らすことができるのです。

4.高気密・換気そして高断熱の関係性

ここまでは主に高気密の特徴と換気の関係性についてお話してきましたが、この2つの話に欠かせないのが「高断熱」です。断熱性能の高さの重要性については冒頭にも少しだけ触れましたが、高断熱は断熱材を用いたり断熱性能の高い窓を使用したりすることで実現できます。高気密・高断熱の住宅は、家全体が魔法瓶のように密閉された状態になるので、外気温の影響を受けにくくエアコンを効率的に動かすことができるため省エネであるという特徴があります。
快適なお家に住むためには、これらの3つのバランスが非常に重要なのです。

換気が欠けてしまうと、外気が侵入することがないので、お家の空気が循環せず結露やカビの発生につながります。しかし気密性能が欠けてしまうと、意図しない外気が侵入し安定した換気を行うことができません。外気の影響で冷暖房だけでは室内を快適な温度に保てないでしょう。一方で断熱材が欠けると、室内外の熱が移動しやすいため、冷暖房を使用しても夏は暑く冬は寒くなります。断熱・気密性・換気は、いずれも欠けてはならない三位一体の関係性なのです。

5.まとめ


今回は気密性能の高さの特徴と換気の必要性について解説しました。快適で健康に暮らすことができるお家には、室内外の熱の移動を遮断するために断熱材を使用し、断熱材を活かすために気密性能を高めることで不必要な外気の侵入を防ぎ、湿気や有害物質を外からは取り込まず、中からは排出するために計画換気を適切に行うことが重要です。これからマイホームの購入を検討している方や、古くなった実家や空き家をお持ちの方は、家族の健康と地球の健康、高騰する電気代から家計を守る、高断熱・高気密の高性能住宅を検討してみてください。

木づつみでは、スーパーウォール工法による高断熱・高気密、またダクト式熱交換器システムの導入を標準性能としています。モデルハウスでは、お家に隙間がなく換気システムが適切に稼働していることを、窓の開け閉めを行うことで一緒に体験していただき、実感して頂けますので、お気軽に体感しにきてください。
もちろん今すぐに建て替えや、リノベーションを検討している方でなくても大丈夫です♪
ぜひお待ちしております。