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スーパーウォール工法について詳しく解説!

2023.09.14

テーマ: コラム 

今回のコラムはスーパーウォール工法について第2弾です。前回より更に専門的な内容を解説していきます。前回のコラムと合わせてぜひご覧ください!

スーパーウォール工法の概要

スーパーウォール工法のスーパーウォールとは、LIXILが販売する高性能パネルの名称です。

日本に古来よりある家づくり工法の木造軸組工法をベースに、高性能パネルを組み合わせることで、高い断熱性能や耐震性能をプラスしたのがスーパーウォール工法です。

「変わりゆく暮らし それを支える家 ずっと続く性能」をコンセプトに北海道から九州(沖縄を除く)までの幅広いエリアで施工されています。

スーパーウォール工法の特徴

高い断熱性能と気密性

スーパーウォール工法で使用される断熱材は高性能な硬質ウレタンフォームと言います。一般的な住宅で用いられる断熱材のグラスウールと比べ、約2.4倍の断熱性能があります。スーパーウォール工法は建物全体をこの高性能な断熱材で包み込むため、魔法瓶のような空間を生み出します。また、スーパーウォール工法の住宅は一般的な住宅に比べて気密性能が高いです。

家全体の隙間を集めても名刺1枚分の隙間しかありません。一般的な住宅ではハガキ4枚分の隙間があるといわれています。隙間が多いとエネルギーのムダが多く光熱費がかさんでしまいます。

気密性はC値という数値で表されています。C値については別のコラムで解説していますので、こちらをご覧ください!

高気密・高断熱って何?

 

耐久性とメンテナンス性

住宅の寿命を縮める原因の多くは壁の内部に発生する結露によるものです。結露を放っておくと建物が持っている本来の寿命より早く劣化が始まることがあります。日本の住宅は適切に保たれていれば100年以上住めると言われています。しかし、実際はそれよりも前の2~30年で建て替えになることが多いです。それは、耐久性などの性能を重視して建てていないからです。

新築時の性能を維持し続けるために重要なのは、壁の内部の結露を抑えることです。そのためには断熱材の性能がポイントになります。木造住宅の天敵の一つは「水分」です。湿気が壁の内部に入り込み結露となり、水分を吸った断熱材が重みで垂れ下がることで性能が低下するだけでなく周囲の木材を腐らせる原因となります。腐った木材はシロアリやカビの温床となってしまいます。

スーパーウォール工法で使用する断熱材の硬質ウレタンフォームは、水を吸収しにくい素材です。独立した気泡構造になっており、気泡の中には熱を伝えにくいガスが封じ込められており高い断熱性能を発揮します。

さらに、室外からの湿気も通気層から掃き出し、躯体の乾燥状態を保って耐久性を高めます。一方、一般的な住宅で用いられる断熱材のグラスウールは水に弱い素材です。水を吸ってしまうと断熱性がゼロに等しくなるだけでなく、建物自体の劣化にも繋がります。水はけも悪く、滞留したままになるためカビが発生したり腐ったりします。

ここで、硬質ウレタンフォームとグラスウールの比較実験をご紹介します。

吸水性実験の結果からも硬質ウレタンフォームの優れた耐水性が分かります。そして、グラスウールは潰さずに施工しないと断熱性能を発揮できません。しかし、いくら腕のいい大工さんでもグラスウールを一切潰さずに施工するのは至難の業です。スーパーウォールパネルであれば水を吸って結露が発生することも、潰れることもないため、新築時の性能を保つことができます。

メンテナンス性については、スーパーウォール工法には特殊なメンテナンスは必要なく、後ほどご紹介する計画換気システムのフィルターを定期的に掃除・交換するのみで問題ありません。断熱材にはLIXILから35年間の無結露保証が付いています。以前、木づつみでお家を建てられたお客様が線路拡張によりお家を建て直すことになり、解体したところ、築20年とは思えないほど断熱材が新築時の綺麗なままだったという事例があります。

そのときの写真がこちらです。

健康と環境への配慮

室内の空気を清浄に保つことはご家族の健康を守る上で大切なポイントです。

スーパーウォール工法で建てられた住宅には「計画換気システム」が組み込まれており、家全体の空気の流れをコントロールすることができます。

空気清浄機は室内の空気を「ろ過」するのみですが、計画換気システムでは常に外気を取り入れ、家全体の空気を「入れ替える」ことで空気のよどみをなくします。

空気のよどみはカビ・ダニの発生源と言われています。計画換気システムによりすみずみまでムラなく空気を循環させることでカビ・ダニの発生を抑え、アレルギーによる健康被害を軽減することが期待できます。また、花粉やPM2.5などの汚染物質の侵入も防ぎます。

実際に木づつみでお家を建てられたオーナー様から「花粉症の症状が良くなった」というお声をいただきました。

また、環境への配慮として、家全体を1台のエアコンで賄えるため冷暖房の使用量が減るのでエネルギー消費量抑制に繋がります。

そして、スーパーウォールパネルを構成する構造用パーティクルボードは、廃材などのリサイクル品を原料としています。また、面材と断熱材を解体しやすいようにビスで接合するなど、素材から接合方法まで環境に配慮しています。

サブトピック

スーパーウォールパネルは防火構造、準耐火構造の国土交通省大臣認定も受けています。その優れた安全性で火災のリスクから大切なご家族を守ります。

また、建築基準法で木造最高となる壁倍率4.3倍を実現します。壁倍率とは、耐力壁の強さを表す数字であり、スーパーウォールパネルの耐震性が高いことが分かります。

実際に、2011年の東日本大震災でも全壊した住宅は0棟でした。地震大国の日本において、安心して暮らせるのは嬉しいですよね。

 

スーパーウォール工法の基本原理

断熱材と熱伝導抑制

硬質ウレタンフォームの熱伝導率は0.019W/m・Kですが、グラスウールは0.045W/m・Kです。熱伝導率は数値が低いほど断熱性能が高いということです。

建物には外気温と室内温度の差により熱が建物内外で伝わるため、断熱材にスーパーウォールパネルを使用して熱伝導を抑制することで、室内の快適性を高めることができます。

外気の侵入を防ぐ気密性

高い断熱性能で屋内外の熱移動を少なくしても、気密性が低いと隙間から外気が侵入してしまい断熱性能の効果が薄くなります。

断熱性能と気密性能はセットで考えなければならないということです。

外気の影響を受ける大きな要因は窓です。そのため、影響を受けにくいサッシを選ぶ必要があります。一般的な住宅ではアルミサッシを使用することが多いですが、スーパーウォール工法ではアルミと樹脂素材の複合サッシを使用します。

アルミの耐久性をそのままに、樹脂が窓まわりの激しい熱移動を抑えます。複合サッシはそれぞれの利点を組み合わせた優れた性能を持つ窓枠として幅広く使用されています。

熱の放射を抑制する外壁材

外壁にモルタルを使用する住宅は多いですが、モルタルは蓄熱するため夏はお家の中が暑くなってしまいます。そのため、断熱材の性能が重要になってきます。

スーパーウォール工法であれば外壁をモルタルにしても、外の暑さをお家の中に伝えません。断熱材にこだわることが快適に暮らすためのポイントなのです◎

スーパーウォール工法の施工方法

木造軸組工法に高性能なスーパーウォールパネルをはめ込む工法です。

スーパーウォール工法の施工の流れは・・・

基礎工事→枠組み工事→パネル・サッシの取り付け工事→通気層・外壁工事→完成です。

 スーパーウォールパネルは構造用合板に断熱材が一体化した構成であるため、現場では間柱にはめ込むだけで筋交い・断熱工事が一度に完了します。しかも、パネルの重量は約26㎏と軽量のため1人での作業も可能です。

通常は外側に合板を張った後に内側から断熱材を入れますが、この方法は施工する職人の技術力に左右されます。

スーパーウォールパネルは全て工場で発砲したものが現場に搬入されるため品質が一定です。パネルを現場でカットする必要がないため、人件費の削減、廃材の削減も可能です。パネルを正しい位置に施工するための施工図が1棟1棟作成され、パネルを図面の番号通りに施工することでバラツキのない質の高い施工が可能になります。そして、構造体と開口部が完成した段階で全棟気密測定を行います。

直近の木づつみの建てたお家のC値は0.1でした!C値は低ければ低いほど気密性が良いということです。

まとめ

いかがでしたか?住宅の購入を検討するときに、工法について気にする人は少ないかもしれません。しかし、世代を超えて住み継げる資産価値の高い住宅であるためには建物の耐久性は欠かせません。

デザインや価格のみに囚われず、工法・構造・断熱材についても意識して考えることをオススメします。木づつみは100年つづく家づくりを目指しています。スーパーウォール工法についてもっと知りたいという方は木づつみにお気軽にお問い合わせください♪